退職後の健康保険は全部で4択

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Vol.2932022年2月22日発行

退職後の健康保険は全部で4択

こんにちは。
ファイナンシャルプランナーの前野彩です。

さて、毎月第2・第4火曜日にお届けしておりますこの「マネーレシピ」。
第2火曜日は、税理士&FPの備順子から、
第4火曜日は、FPの前野彩からお送りいたします。


もうすぐ年度末。

春は別れと出会いの季節と言いますが、
転職や起業、定年退職など、退職者が増える時期でもあります。

退職した後の健康保険は大きく4つ。

そこで、退職前に考えておきたい健康保険についてお伝えします。


┏━━━┓  1.転職先の会社が決まっている退職の場合
メニュー┗┓  2.失業・起業の場合の選択肢は3つ
     ┗┓ 3.任意継続被保険者の2つの制度改定
      ┗┓ 4.セミナー告知
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1.FP前野彩のマネーのミニレシピ
   ~転職先の会社が決まっている退職の場合~
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退職後、すぐに転職先や再雇用先が決まっている場合の
健康保険は簡単ですし、とてもスムーズです。

入社と同時に渡される書類を記入して提出すると、
職場が健康保険の手続きを行ってくれます。

扶養に入るパートナーや子どもがいれば、
その人達も転職先の健康保険に含めることができます。

健康保険料は今まで通り、
収入に応じて毎月の給与やボーナスから納めます。



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2.FP前野彩のマネーのミニレシピ
   ~失業・起業の場合の選択肢は3つ~
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失業や個人事業主(フリーランス)として起業するなど、
次の会社が決まっていない場合は、
次の3つの中から自分で選択します。

(1)家族が加入している健康保険の被扶養者になる
(2)退職前の会社の健康保険の任意継続被保険者になる
(3)国民健康保険に加入する

まずは「(1)家族が加入している健康保険の被扶養者になる」です。

パートナーや子ども、親などの家族が加入している健康保険の扶養に入ると、
健康保険料の負担がありません。
つまり、ゼロ円で健康保険が利用できるため、
加入条件を満たせば最もオトクです。

扶養に入る条件は大きく二つ。
一つは、扶養に入る人の収入が130万円未満
(60歳以上または障害厚生年金受給者は180万円未満)であること。

そして、もう一つは扶養に入る人の年収が
働いて健康保険料を納めている人の年収の2分の1未満であること

この2つの条件を満たすと扶養に入ることができます。

なお、ここでの収入は、これから1年間の見込み収入を差します。

税金は1月~12月までの1年間に実際に稼いだ収入で扶養の別を判定しますが、
健康保険の扶養を判定する場合は、
あくまでも見込み収入である一方、
税金上は収入に当てはまらない雇用保険の失業給付や障害年金など
収入にカウントします。

そのため、退職後に失業給付(いわゆる失業保険)を受け取る場合は、
は家族の扶養に入ることができないケースが多くあるのです。


そこで次に検討するのが
「(2)退職前の会社の健康保険の任意継続被保険者になる」です

利用できるのは、退職日までに継続して2か月以上被保険者であった人です。

在職中の健康保険料は、会社と半分ずつ負担していますが、
任意継続被保険者の保険料はすべてを自分で納付します。
つまり、給与明細に記載されている健康保険料の2倍です。

でも安心してください。
任意継続被保険者の保険料には上限があります。

その基準は、「A:退職前の標準報酬月額」、または
「B:加入している健康保険全体の平均標準報酬月額」のうち、
いずれか低い額で決まります。

つまり、あなたの月給が20万円の場合はAのルールにのっとり、
現在給料から天引きされている健康保険料の2倍を払うことになります。

でも、あなたの月給が50万円の場合は、
協会けんぽの場合は、Bの基準にのっとり、
平均月給30万円で計算した健康保険料の2倍の金額を納めることになります。
給与が高い人にとってはありがたい制度ですね。

任意継続の手続きは、退職日の翌日から20日以内です。

なお、1カ月の医療費が高額になりがちな人は、
健康保険組合の付加給付があるかどうかも調べておきましょう。


最後に検討するのは、「(3)国民健康保険に加入する」方法です

国民健康保険料は、前年の所得と家族の人数をもとに計算されます
そのため、定年退職などで退職前年の所得が高い人は、
健康保険料が高額になります。

そこで、所得が高い人は
(2)の任意継続被保険者を選択する人が多いのが実情です。

なお、倒産や解雇などの望まない失業となった人の国民健康保険料(税)は
失業の翌年度末までの間、前年の給与所得を3割として保険料が計算されるため、
安くなります。

また、結婚や転勤により通勤不可能な状況になった場合も同じように、
前年の給与所得を3割と低く見積もってくれます。
その他にも、新型コロナウイルス感染症で
世帯主が死亡や重篤な傷病を負った世帯では、
国民健康保険料が免除になる制度もあります。

自分から退職を申し出たから自己都合と思い込まずに、
市区町村に確認してみてくださいね。


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3.FP前野彩のマネーのミニレシピ
   ~任意継続被保険者の2つの制度改定~
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転職先の会社が決まっている場合は、選択の余地なしですが、
失業や起業の場合は、3つの制度からどれを選べばいいのでしょうか。

納める健康保険料の負担からいうと、
一般的には(1)家族が加入している健康保険の被扶養者になる 

(2)退職前の会社の健康保険の任意継続被保険者になる

(3)国民健康保険に加入する、 の順番に検討します。

ただ、昨年までの任意継続被保険者は高所得の人にとっては便利な制度である一方、
2年間はやめられない制度となっていました。

すると、「退職してから時間も経って、前年所得が下がったから、
任意継続被保険者の保険料よりも、国民健康保険料のほうが安くなった」
という場合も高い任意継続被保険者を続けることが原則でした。

また、「子どもが就職したから子どもの健康保険の被扶養者になりたい」
という場合も、高い任意継続被保険者を続けることが原則でした。

そこで、自らの意思でやめたいときには、
保険料の「未納」をあえて作って、
任意継続の資格を失うようにするというのが実態だったのです。

そこで、行われたのが今年の1月からの改正です。

今後は、任意継続被保険者を選択してから2年経たなくても、
その後に有利な制度に自由に変更できるようになりました。

これは、ライフスタイルの変化に対応しやすい嬉しい改正点です。

その一方で、給付が手厚いことが多い『健康保険組合』の
任意継続の健康保険料は
「A:退職前の標準報酬月額」、または
「B:加入している健康保険全体の平均標準報酬月額」のうち、
高い方を設定することもできるように改正されました。

そのため、健康保険組合の規定が改正された場合は、
Bの基準にのっとり、
健康保険組合全体の平均が月給30万円だったとしても、
あなたの月給が50万円の場合は、
50万円で計算した健康保険料の2倍の金額を納めることになるのです。

今までは、
退職者は収入が高い→国民健康保険より任意継続被保険者が有利、
というケースが多かったのですが、これからはそうとは限りません

特に、加入している『健康保険組合』によっては、
退職後は国民健康保険のほうが安くなるケースも発生します。

失業や起業の場合は
自分にあった健康保険制度を慎重に選ぶようにしてくださいね。

もちろん、わからない時はご相談ください。


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