個人事業主の資格取得費は必要経費???

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Vol.2922022年2月 8日発行

個人事業主の資格取得費は必要経費???

こんにちは。
税理士の備順子です。

さて、毎月第2・第4火曜日にお届けしておりますこの「マネーレシピ」。
第2火曜日は、税理士&FPの備順子から、
第4火曜日は、FPの前野彩からお送りいたします。

今年の確定申告は
令和元年分や令和2年分の申告のような一律の期限延長はありません。

とはいえ、オミクロン株による感染者数が
一日10万人超えという状況ですので、
令和4年4月15日までは、
簡易な方法により申告・納付期限の延長を
申し出ることができるようになりました。

3月15日に間に合わない場合は、申告書の余白に
「新型コロナウイルスによる申告・納付 期限延長申請」
といった文言を付記すればよいこととなります。

なお、令和4年4月16日以降に期限の延長申請を行う場合は、
別途「延長申請書」を提出する必要があります。

いままで当然のように「3/15まで」だった期限が、
4/15までという状況が2年続くと、
3/15という期限がかなり短く感じられます。

今回は備から、
「事業主の資格取得費用ははたして、必要経費か?」
というテーマでお伝えします。



┏━━━┓  1.個人事業主の資格取得費は必要経費???
メニュー┗┓  2.資格取得費等として認められない事例と考え方
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1.税理士備順子のマネーのミニレシピ
   ~個人事業主の資格取得費は必要経費???~
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確定申告時期に
個人事業主の方々からのご質問に多いものの一つに、
「事業主本人の資格取得費は事業所得の必要経費となるか?」
というものです。

技能の習得または研修等のために支出した費用について、
基本通達では次のように取り扱われています。
「業務を営む者またはその使用人が
その業務の遂行に直接必要な技能・知識の習得・研修等を
受けるために要する費用の額は、
習得または研修等のために通常必要とされるものに限り、
必要経費に算入する。」~所得税基本通達37-24~

この条文からは、事業主本人の資格取得費は
事業所得の必要経費となる可能性はありそうですが・・・


令和元年の大阪地裁の判断をご紹介しましょう。

整骨院の事業主自身の柔道整復師の専門学校の授業料が
必要経費として認められるかが争われた事例です。


主人公の事業主は
柔道整復・カイロプラクティック・理学療法による
整体業を個人で営んでいました。

その事業主自身は柔道整復師の資格は持っていなかったため、
カイロプラクティック・理学療法を担当し、
柔道整復業は2人の有資格者を雇って行っていました。

その柔道整復師の1人が数か月で退職し、
もう一人も独立する予定があるということで、
事業主は、自ら柔道整復師の免許を取得することとしました。
夜間の専門学校に3年間通い(凄い!!!)、
無事免許を取得しました。
そして、その授業料を毎年の必要経費に入れていたのです。

この事業主の主張は
「柔道整復師を雇用している限り退職の不安がある。
整骨院の収入の大半が柔道整復業であり、
経営の安定と維持、拡大のためには自身が免許を取る必要がある。
したがって学校への支払は業務の遂行上必要経費である」
というものでした。

一方、裁判所の判断は・・・
専門学校の授業料は事業所得の必要経費に
算入できないというものです。

その理由は、
「専門学校への支払は、
柔道整復師として生涯にわたって収入を得ることができる
業務独占資格を取得するためのものであり、
人的資本の価値増加にあたるから」
でした。

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1.税理士備順子のマネーのミニレシピ
   ~資格取得費等として認められない事例と考え方~
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同様の裁決事例もいくつかあります。
平成27年4月14日の国税不服審判所の裁決では・・・
宅地建物取引業を開業するための
宅地建物取引主任者資格の資格取得費は、
「新しい地位や職業を獲得するための教育費であり、
家事費に該当することから、
必要経費に算入することはできない」
とされています。

その他にも、
「歯科医師が学位を取得するために
大学院の博士課程に通った入学金・授業料が
必要経費として認められない」
(平成13年9月27日裁決)、

「修士及び博士課程の授業料等は
弁護士業に係る事業所得の必要経費とすることはできない」
(平成15年10月27日裁決)
など・・・



医師や弁護士、税理士、宅建などの国家資格には独占業務があり、
独立開業できる資格です。
このような新しい地位、職業の取得のための教育費は、
必要経費と認められず家事費と判断されます。

また、よりいっそう、自身の能力を磨くための
博士課程等の授業料は、自己研鑽のためであり、
業務遂行上直接かつ通常必要なものとは認めらないとされ、
これも必要経費と認められず家事費とされます。



税金の計算のもととなる所得は
「収入-経費」で計算します。

1年間の収入の方は明確ですが、
そこから差し引く経費の方はグレイゾーンも多く、
確定申告時期は悩まされる毎日が続きます。



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