令和3年分の確定申告の変更点

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Vol.2902022年1月11日発行

令和3年分の確定申告の変更点

こんにちは。
税理士の備順子です。

さて、毎月第2・第4火曜日にお届けしておりますこの「マネーレシピ」。
第2火曜日は、税理士&FPの備順子から、
第4火曜日は、FPの前野彩からお送りいたします。

あけましておめでとうございます。
本年もどうぞこのメールマガジン、
ご愛読のほど、よろしくお願いいたします。


いよいよ、確定申告のシーズン到来です。

令和3年は、令和2年の確定申告と大きく変わる点はありませんが
それでもこまごまとした改正がありますので、
今回は備から令和3年分確定申告の変更点を
6つ選んで、お伝えしましょう。



┏━━━┓  1.申告は簡素化の方向へ
メニュー┗┓  2.「申告漏れは許さない」改正
     ┗┓ 3. セミナー告知
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1.税理士備順子のマネーのミニレシピ
   ~申告は簡素化の方向へ~
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1.押印廃止

令和3年分の確定申告からは押印廃止となっています。
確定申告書や青色決算書などに「印」の文字はありません。

今や税務署提出書類や社会保険関係書類は
ほぼ、押印不要となっています。


2.上場株式等に係る配当所得等の住民税の申告手続きの簡素化

上場株式等の配当所得等については、
総合課税、申告分離課税、申告不要の3つの申告方法から
自由に選択することができます。
また、現在は所得税と住民税で異なる課税方式を
選択することもできます。

例えば、所得税では総合課税により申告して、
源泉徴収されていた所得税の還付を受ける一方、
住民税を申告不要にするのです。
この結果、
国民健康保険料や介護保険料の負担が大きくなることを
免れることができるのです。

ただ、このように所得税と住民税で異なる課税方式を
選択する場合は、令和2年分の申告までは、
所得税の確定申告をして
さらに住民税の確定申告書を
提出しなければならず、
結構めんどくさかったのです。

それが令和3年分の申告からは所得税の確定申告書の
第2表の下の方にある住民税に関する事項の
「特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部の申告不要」欄に
丸印を入れるだけで、
「所得税は申告」「住民税は申告不要」を選択できることとなり、
とても便利になりました。

ところが、です。
残念ながらこの異なる課税方法の選択制度は、
令和3年分・令和4年分の申告のみとなります。
なんと、便利になったとたんに令和4年度税制改正で、
令和5年分からは、
所得税と住民税で異なる課税方式を選択できず、
統一させなければならなくなります。

・・・う~ん・・・
朝令暮改の感は否めません。



3.セルフメディケーション税制・書類の添付が不要に

国民が適切な健康管理をしつつ、
軽微な症状であれば自主服薬で治すことを支援する制度が
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)です。
購入価額が年間12,000円を超えると、
所得から差し引き、税負担を軽減できます。

この適用を受ける場合、
医薬品の領収書は、確定申告で提出する必要はなく、
各自で5年間保管すればよいとされていました。
一方、健康診査等の
「健康の保持増進及び疾病の予防への取組を
行ったことを明らかにする書類」(「取組関係書類」)は、
令和2年までは確定申告書への添付が必要でした。

令和3年分の申告からは、
この「取組関係書類」も提出不要となります。
健康の保持増進への取組の名称を
「特定一般用医薬品等購入費の明細書」に記載して提出し、
「取組関係書類」と「医薬品の領収書」は5年間ご保管ください。


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2.税理士備順子のマネーのミニレシピ
   ~「申告漏れ・添付漏れは許さない」改正~
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1.経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)の添付書類

思わぬ利益が出て何とか決算までに節税したいというときに、
よく活用されるのが、「中小企業倒産防止共済制度」、
通称は「経営セーフティ共済」です。

本来、この制度は取引先の倒産による経済的な損失に備えるための
中小企業や個人事業主向けの共済制度ですが、
節税にもつながるということで人気のある制度です。

経営セーフティ共済に支払った掛金は、全額必要経費となり、
40カ月以上掛金を納付していると、
掛金全額を解約手数料ゼロで払い戻すことが可能だからです。
つまり、貯金が経費になるようなものです。

ただし、この制度は申告書に必要書類が添付されていなければ、
必要経費として認められません。
ところが、従来、法人については正式書類がありましたが、
個人事業主については、
定まった書式の添付書類はありませんでした。

そのため添付漏れが散見されていたようです。
そこで、国税庁は令和3年6月に
『特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書』を
公表しています。

定まった書式が公表されたこともあり、
今後は厳しい対応が予想されますので、
令和3年に掛金を支払っていた方は、
この書類の添付漏れにご留意ください。



2.暗号資産デリバティブの支払調書制度

暗号資産(仮想通貨)デリバティブ取引の差金等決済で
確定した利益・損失について、支払調書制度が創設されています。

支払調書とは法人や個人が、
誰に、いくら、どのような支払をしたかということを
税務署に報告する制度です。

税務署はこれによりお金を支払われた人(お金を受け取った人)が
確定申告しているかどうかを確認できるようになっています。

令和3年1月1日以後の暗号資産デリバティブ取引について
支払調書が税務署に提出されるようになっています。

ときどきネット取引だから「バレない」と勘違いしている人も
いらっしゃいますが、
電子商取引を行っている事業者等に対する税務調査や
情報収集を専門的に行う「電子商取引専門調査チーム」
いわゆる「サイバー税務署」から
申告漏れの指摘を受けて多額の追徴税額を
支払っている事例も少なくありません。

支払調書制度でますます補足されやすくなります。
ご留意ください。



3.国外中古不動産に係る不動産所得の損益通算の制限

国外に賃貸不動産を持っておられる方の不動産所得に関する改正です。
欧米諸外国の建物は使用可能期間が長く価値が落ちにくいのです。
欧米諸外国の建物寿命は、70年から80年といわれています。

ところがその国外建物を中古で取得すると、
我が国の税法ではかなり短い期間で費用化することができます。
例えば築22年を経過した木造建物でしたら
4年で費用化(減価償却)することができます。

4年で減価償却しますので、
1年あたりの減価償却の額が大きくなり、
経費が収入を上回って赤字となります。

そして、その赤字を国内の黒字の所得と通算することで、
日本の税負担を軽くするという節税スキームが
流行っておりました。

その封じ込めの改正は、
令和3年から始まっています。

国外中古建物に係る不動産所得について赤字が生じた場合、
その損失のうち、耐用年数を簡便法(注)などで計算したときは、
国外中古建物の減価償却費に相当する部分の金額は、
切り捨てられ、他の所得と通算できないこととされています。

(注)簡便法とは、法定耐用年数の全部を経過した資産については
法定耐用年数の2割の期間を耐用年数とすることができる方法のことです。



4.最後に...

ここ最近、毎年のように確定申告書の様式は
マイナーチェンジが行われています。
確定申告書は必ず申告年度のものを使ってくださいね。



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