離婚の財産分けで渡した自宅に税金?

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Vol.2702021年3月 9日発行

離婚の財産分けで渡した自宅に税金?

こんにちは。
備順子税理士事務所の備です。

さて、毎月第2・第4火曜日にお届けしておりますこの「マネーレシピ」。
第2火曜日は、税理士&FPの備順子から、
第4火曜日は、FPの前野彩からお送りいたします。

確定申告も真っただ中です。

今年はコロナウイルス感染症による緊急事態宣言などが
発せられた地域もあったことから
申告期限が1か月延長し、期限は4月15日となっています。

おかげさまで、
いつもこの時期にはストレス200%で、
キィー
カッー
ウゥゥゥゥ――
となっているはずの私(備)ですが、
どうにかストレスフリーの毎日です。


今回は、離婚に伴う財産分与として
自宅を渡した夫の課税関係についてお伝えしましよう。


┏━━━┓  1.税務署から不穏なハガキが...
メニュー┗┓  2.譲渡所得って...
     ┗┓  3.ここに救いあり...
      ┗┓  4.セミナー告知
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■□ 税理士備順子のマネーのミニレシピ
□   ~税務署から不穏なハガキが...~
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昨年末ごろ、私の知人のところへ税務署からハガキが届きました。
「譲渡所得の申告についてのご案内」
というもので、
「税務行政につきましては、
日ごろからご協力いただきありがとうございます。」と、
ご丁寧に冒頭からお礼が述べられています。
(ご本人曰く、何も協力していない・・・)


その内容は
あなたが令和2年中に譲渡(売却)された
不動産・金地金等について
利益が発生している場合は申告する必要がありますよー。
というものです。

本人にしてみれば、
「へ?何のこと???」
です。

不動産を売った覚えもないし、
金の延べ棒も持っていないし...

ということで、私のところへご連絡がございました。

知人は昨年、無事?苦労の末に離婚されました。

その際に、
自宅マンションを財産分与として元妻に渡したのでした。
しかもそのマンションにはローンが残っていましたが、
そのまま渡してしまうと、
ちょっとややこしくなるというので、
えいやっーと残ローンも一気に貯金から完済して渡すという、
かなり太っ腹なことをして・・・

この元夫婦には高校生の長女がいて、
まだまだ養育費などが必要なためだったようです。

元夫は残り少なくなった貯金とともに、
身一つで
ゼロからスタート、
これからは長女が成人になるまでは約束どおり、
毎月の養育費も仕送りしなければなりませんが、
ようやく次の住まいも見つかり、
一息ついたところでした。


そこに税務署からの不穏なハガキ・・・。



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■□ 税理士備順子のマネーのミニレシピ
□   ~譲渡所得って...~
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そうなのです。
自宅を元妻に渡したことによる、
譲渡所得の申告のご案内なのです。


ご本人にとっては「何のこと?」ですが、
税金の世界は私たちの常識が通用しない世界です。


そもそも
譲渡所得というのは、
その人が資産を持っていた期間中の値上がり益に対し
所得税や住民税をかけるというものです。

所有者が変わった時に、
その人が持っていた期間の値上がり益があれば、
翌年、確定申告して税金を納めることとなります。

購入したときより売却したときの価額が大きければ、
課税の対象となります。

この時、たとえ金銭の授受がなかったとしても、
その資産の時価が購入時より値上がりしていれば、
課税の対象となるのです。

つまり、離婚に伴う財産分与で財産を渡したときに
所有権が移転しますので、
もとの所有者が譲渡したこととなるのです。

ということで、
元夫に「自宅の譲渡所得を申告しなさい」
という通知が来たのです。

金銭のやり取りが無いのですが、
時価が売却価額であると考えます。


一方、
税金の世界の奇妙奇天烈摩訶不思議なところですが、
離婚により相手方から財産をもらった元妻には、
通常、贈与税がかかることはありません。

これは、相手方から贈与を受けたものではなく、
夫婦の財産関係の清算や、
離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づいて
給付を受けたものと考えられるからです。

財産を「あげた方」は課税されて、
財産を「もらった方」は非課税です。




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■□ 税理士備順子のマネーのミニレシピ
□   ~ここに救いあり...~
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そもそも自宅マンションについては、
買ったときより売った時の方が
値上がりしているというのは考えにくいですので、
通常であれば、譲渡所得はほぼ発生しないでしょう。

しかし、今回の事例では、
元夫の自宅マンションは駅前にあり、
中古であっても結構人気の物件であるため、
値上がり益が微妙に出るか出ないかのところです。


ただし、特例があります。
もし、値上がりしていたとしても、
譲渡したものが自宅ですので、
居住用財産の3,000万円特別控除制度が適用できます。

これは、自分の住んでいた家屋やその敷地を売却した場合、
値上がり益のうち3,000万円は無かったことにしてくれる特例です。

この特例は、
売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係である場合は、
適用を受けることができませんが、
離婚して他人同士になった後であれば、
適用を受けられます。

ところで、よくよく法律を読むと・・・
配偶者、直系血族その他「特別の関係がある者」である場合には
適用がないものとされています。


今回の場合、
元夫は現在、毎月、長女に対する養育費も含めて、
生活費を仕送りしています。
元妻は今まで働いたことがないため、
その仕送り金額には生活費も入っているようです。


元妻に生活費の仕送りをしていると
3,000万円の特別控除を受けられないような
「特別の関係がある者」には該当しないのでしようか?


租税特別措置法施行令(20条の3)において、
「特別の関係がある者」には、
「個人から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの、
及びその者の親族でその者と生計を一にしているものが含まれる」
とされています。

...とゆうことは、
3,000万円特別控除の適用はない???

いえいえ、
「個人から受ける金銭その他の財産によって
生計を維持しているもの」とは、
個人から給付を受ける金銭...によって生ずる収入を
日常生活の資の主要部分としている者をいうのであるが、

その個人から離婚に伴う財産分与、
損害賠償その他これらに類するものとして受ける金銭
その他の財産によって生計を維持している者は
含まれないものとして取り扱う。

という通達(措置法関係通達31の-23)が準備されています。



とゆうことで、今回の場合、
たとえ、値上がり益があったとしても、
3,000万円特別控除を使うことで
追加の税金はかからないということになります。


ほんと、税法は
いったん「適用ありだー」と安心させたかと思うと、
いやいや「適用は受けられないぞ!!!」と奈落の底に落しておいて、
つぎは「とは言っても○○の場合はいいよ~」と
ほうっとさせたり...

やっぱり、
ストレス溜まります。




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