住宅ローン控除はこうなる!!!

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Vol.2872021年12月14日発行

住宅ローン控除はこうなる!!!

こんにちは。
税理士の備 順子です。

さて、毎月第2・第4火曜日にお届けしておりますこの「マネーレシピ」。
第2火曜日は、税理士&FPの備順子から、
第4火曜日は、FPの前野彩からお送りいたします。


先日、かなり酔っぱらってしまい、
化粧も落とさず、
寝落ちしてしまったときのこと。

ズキッ
強烈な痛みで目が覚めました。

うぅ~、頭の奥が痛い・・・
いや、口の中だ・・・
え~、舌が・・・

寝ながら思いっきり、
舌を噛んでいたのです。

2日間、ご飯が食べられず、
飲み物もそろりそろりと飲むという状態。
しかも、しゃべると痛い、響く・・・


もともと、歯を食いしばる癖があり、
歯医者さんからマウスピースを買うことを
勧められていました。

真剣に検討します。


来年以後の住宅ローン控除、
「はたしてどうなる?」
と思っていた方も多くいらっしゃると思います。

12月10日に税制改正大綱が公表され、
明らかになりましたので、今回は備から、
改正後のローン控除についてお伝えします。


┏━━━┓  1.注目の控除率は?
メニュー┗┓  2.ローン控除額の上限は?
     ┗┓ 3.ローン控除を受けられる期間は?
      ┗┓ 4.住民税の住宅ローン控除も小粒に
       ┗┓ 5.セミナー告知

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1.税理士備順子のマネーのミニレシピ
   ~注目の控除率は?~
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もっとも注目されていた点が控除率。
今までは、
住宅ローン年末残高の1%が税額から差し引けていました。
改正により、令和4年以後に入居される方は、
住宅ローン年末残高の0.7%に引き下げられます。

現在の低金利の状況下で、
住宅ローンの金利は変動金利なら0.3%台も登場し、
35年固定金利でも、なんと0.8%!というものもあります。

住宅ローン控除という税金の還付制度は、
いわばローン残高の1%のキャッシュバック制度でした。

たとえば、利率0.5%で借りて、1%分が戻ってくるのですから
住宅購入者にとっては「利ザヤ」が生じている状態でした。

貯金が十分にあってローンを組まなくても家を買える人も、
あえてローンを組んで、
利ザヤを得るということが、極めて「合法的」に行われていました

ところが、
国のお金の出し入れのお目付け役である会計検査院が、
指摘をしたことより、見直されたのです。

国土交通省によると、
この0.7%という控除率であれば、
住宅購入者のローンを組む時の手数料などを考えると
利ザヤが生じることはほぼ無くなるようです。



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2.税理士備順子のマネーのミニレシピ
   ~ローン控除額の上限は?~
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さて、2つ目の注目点は、
控除の対象となる年末借入金残高の上限です。

これがまた・・・
ここまで、物事をややこしくしていいのか???
というぐらい複雑です。
非人間的です。


まず「新築」と「中古」で年末借入金残高の上限が異なります。

さらに、住宅性能で年末借入金残高の上限が異なり、
新築については松・竹・梅・雪コースの4つに分かれます。
中古住宅については鶴・亀コースの2つです。
(松・竹・梅・雪および鶴・亀のコース名は
私(備)が勝手に名付けました。あしからず・・・)

そして、新築については
入居年が令和4年~5年であるか、
令和6年~7年であるかでも異なります。


具体的には、
新築の年末借入金残高の上限(令和4年~5年入居)
 松・・・長期優良住宅・低炭素住宅      5,000万円
 竹・・・ゼロエネルギーハウス(ZEH)水準住宅 4,500万円
 梅・・・省エネ基準適合住宅         4,000万円
 雪・・・その他の住宅            3,000万円

新築の年末借入金残高の上限(令和6年~7年入居)
 松・・・長期優良住宅・低炭素住宅      4,500万円
 竹・・・ゼロエネルギーハウス(ZEH)水準住宅 3,500万円
 梅・・・省エネ基準適合住宅         3,000万円
 雪・・・その他の住宅(令和5年までに建築確認を受けた場合のみ)2,000万円

中古住宅の年末借入金残高の上限(令和4年~7年入居)
  鶴・・・上記の松・竹・梅の住宅      3,000万円
  亀・・・その他の住宅           2,000万円

驚いたのは、
令和6年~令和7年入居する場合の新築住宅の適用範囲です。
令和6年以後に建築確認を受けるものについては、
最低、省エネ基準を満たさなければ
対象外となるのです。
(上記の令和6年~令和7年入居の
「その他の住宅」の( )書きはこの意味です)


これは、どういうことかといいますと・・・
今までは消費税率がアップしたことによる
景気の冷え込みを回避するという目的で、
「消費税10%で買ったらたくさん優遇しますよー。」
「消費税8%で買ったら優遇しませんよー。」
というスタンスで、年末借入金残高の上限が決まっていました。

ところが、
いまや多くの日本人は10%に慣れてきましたので、
消費税対策は終了し、
今度は、
地球温暖化対策・脱炭素社会化という観点から
年末借入金残高の上限が決められます。


世界的に地球温暖化対策が問題となっている今、
「令和6年以後は環境に優しくない家は、建てるな」
という意図がもろに表れています。

ちなみに、
令和元年着工分については、
省エネ基準を満たす戸建ては約9割、
マンションは約7割前後だそうです(日経新聞12月11日より)


一方、中古住宅は省エネ基準を満たしているか否かにかかわらず、
令和7年まで、ローン控除は受けられます。
すでにあるものは大切に使おうということらしいです。

しかも、中古住宅は、
築年数要件(木造なら建築後20年以内、鉄筋なら25年以内)が
ありましたが、これが撤廃されます。
改正後は昭和57年以後の建築であればOKとなります。
昭和57年ということは、
・・・築40年!!!です。




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3.税理士備順子のマネーのミニレシピ
   ~ローン控除を受けられる期間は?~
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ローン控除を受けられる期間は新築の場合13年間、
中古の場合10年間です。

中古物件の有効活用と言っている割には、
年末借入金残高の上限も低く、
控除期間も短いというのは、
どうも解せないですね。
こんなに空き家が問題視されている中で...。

いまだに国は
「住宅投資は内需の柱」と位置付けて、
新築を優遇しているようです。



中間所得層に手厚く?

住宅購入者の所得要件が引き下げられました。
改正前は、所得要件は3,000万円以下でしたが、
令和4年以後は2,000万円以下となります。

国税庁の令和元年統計調査では、
申告納税者のうち95%が所得金額は2,000万円以下です。

所得要件が引き下げられても、
ほとんどの方は対象となるでしょうが、
うっかり超えるケースがあります。

たとえば、
相続した不動産や、
ずっと昔に買った不動産を売った場合など、
簡単に2,000万円は超えちゃいます。

この場合、
譲渡所得の3,000万円控除などの特例を使う前の所得金額で、
2,000万円以下でなければなりませんから、
特に要注意です。


また、住宅の床面積要件があり、原則は50平米以上です。
ただし、
改正前から、所得が1,000万円以下の場合であれば、
40平米以上でも適用が受けられていました。
これが令和5年まで延長されますが・・・
ここも、不思議です。

単身世帯や2人世帯が、
全世帯の6割という現実があります。

そのような社会構造の中で、
40平米以上OKとなったにもかかわらず、
令和6年・7年は
40平米以上50平米未満は適用できないこととなります。

今後、
世帯人数が増えていくとは、思えないのですが・・・。


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4.税理士備順子のマネーのミニレシピ
   ~住民税の住宅ローン控除も小粒に~
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年末残高の0.7%の金額を所得税で引ききれなかった場合、
引ききれない部分を住民税から引けるのですが、
これも小粒になりました。

改正前は最大136,500円を上限として
課税所得の7%を住民税から引けていました。

改正後は最大97,500円を上限として
課税所得の5%しか住民税から引けなくなります。




令和4年度税制改正大綱の基本的考え方の中で、
「簡素な制度の構築」という語句がありました。

改正後の奇妙奇天烈・複雑怪奇な
住宅ローン控除制度を見ていると、
もう、ブラックユーモアでしかないです・・・。




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