今年もやってきました年末調整、申告漏れの事例のご紹介

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Vol.2862021年11月 9日発行

今年もやってきました年末調整、申告漏れの事例のご紹介

こんにちは。
税理士の備 順子です。

さて、毎月第2・第4火曜日にお届けしておりますこの「マネーレシピ」。
第2火曜日は、税理士&FPの備順子から、
第4火曜日は、FPの前野彩からお送りいたします。


先日、
赤いインクがついた千円札が財布の中に。

どこで受け取った???

千円札の1/3ぐらい赤インクがべったりです。

一刻も早く手放したい私(備)
でも今日は土曜で金融機関にも行けないし...
「そうや、自動販売機で使おう」

ということで
ドキドキしながら、
千円札を投入、
おー、吸い込まれた、

焦っていたので、欲しくもない
「果肉たっぷりぶどうジュース」のボタンをプチッ

おー、おつり、出てくる・・・
ホッ

おつり、出てくる・・・
え?
出てくる・・・
まだ、出てくる・・・
え? え? え?
いつまで・・・

おつりの受取口のふたがあかない・・・

何とか取り出したおつりは
500円玉1枚と
50円玉1枚
10円玉・・・32枚のはず(その場では数えられなかった)。

自動販売機の逆襲を受けたようです。


今回は、年末調整を目前にして、
備からミス事例のご紹介をします。


┏━━━┓  1.年末調整とその影響
メニュー┗┓  2.ひとり親控除の対象は子育て世帯だけではない
     ┗┓ 3.障害者控除の対象は意外と広い
      ┗┓ 4.セミナー告知

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1.税理士備順子のマネーのミニレシピ
   ~年末調整とその影響~
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給与所得者は勤め先が給与所得者に代わって所得税の計算を行います。
ですから、給与所得者はわざわざ自分で確定申告をしなくても、
税額が確定します。これを年末調整と言います。

この年末調整によって、
多くの給与所得者の所得税が確定するだけではなく、
住民税も自動的に確定することとなります。
ということは、年末調整で所得税が誤っていると、
住民税まで間違ってしまうことです。

さらに、
住民税により各種の給付金が給付されるかどうかや
給付金額が決定しますので、所得税のミスは広範囲に影響します。
例えば、
児童手当、高校就学支援金、公営住宅の家賃、すまい給付金などの
給付の有無や給付金額は、
住民額の所得金額や税額等で確定するのです。

年末調整のミスの原因の多くは、
給与所得者が正しく自分の事情を伝えきれていないことにあります

給与所得者は年末調整時に提出する次の3つの書類で、
勤め先に自分の事情を伝えます。

1.給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
2.給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
3.給与所得者の保険料控除申告書


そもそも、
所得税の税額は
(収入金額-必要経費-所得控除)×税率で計算します。
収入金額から差し引く金額が多ければ多いほど、
税金の負担は小さくなります。

給与所得者が勤め先に提出する書類で伝えるのは、
収入金額から差し引く金額のうち
主に「所得控除」の部分です。

給与所得者の場合の税金計算は
(給与収入金額-給与所得控除額-所得控除)×税率です。

給与所得控除額と言うのは給与所得者の必要経費で、
55万円~195万円と、給与収入金額に応じて、
差し引く金額がもともと決まっています。

ですから、
給与所得者にとっては『所得控除』が、
「キモ」で、これ次第で税負担が変わります。
給与所得者が3つの書類で
自分の事情を伝えるのが「所得控除」であり、
漏らさず自分の事情を伝えることで正しい税額が計算されます。

今回は、正しく自分の事情を伝えていなかったことで、
払わなくてもいい税金を支払っていた事例を2つご紹介します。


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2.税理士備順子のマネーのミニレシピ
   ~ひとり親控除の対象は子育て世帯だけではない~
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ひとり親とは、その年の12月31日の現況で、
配偶者と死別、離婚、行方不明、未婚など、
婚姻していない人のうち、
次の三つの要件の全てに当てはまる人です。

1.事実婚関係の人がいない
2.生計を一にする子(総所得金額等が48万円以下)がいる
3.本人の合計所得金額が500万円以下。

令和2年以後は上記の要件に当てはまりますと
男女、婚姻歴の有無にかかわらず、
所得の金額から35万円(住民税は30万円)を控除できます。

一般的なイメージのひとり親は、
「子育て中のシングルマザー・シングルファーザー」
かもしれませんが、そうとも限りません。

次の事例は給与所得者ではなく、
「公的年金受給者の扶養控除等申告書」への記載もれの事例です。

妻に先立たれた78歳の年金受給中の男性Aさん。
同居の55歳の長女(無職)を扶養していました。
ひとり親控除の要件をすべて満たしていたにも関わらず、
適用を受けることに気が付かなかったようです。

Aさんは長女を扶養控除の対象としていましたが、
さらに35万円のひとり親控除を受けられるのです。


(注)扶養控除の対象となる人の所得要件は
「収入金額-必要経費」が48万円以下です。
給与収入だけの人なら年収103万円以下、
年金収入だけの人(65歳以上)の場合は158万円以下であれば
扶養控除の対象となります。

また、
「生計を一にしている」ことも扶養控除の対象となる人の要件です
同居であれば「生計を一にしている」こととなりますが、
子や親と別居していても、
生活費の仕送りをしているのであれば、
「生計を一にしている」といえます。


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3.税理士備順子のマネーのミニレシピ
   ~障害者控除の対象は意外と広い~
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障害者控除については意外と控除もれが目立ちます。
障害者控除の対象となる人は、
障害者手帳の交付を受けている人だけではありません。

成年被後見人は特別障害者控除の対象となります。
また、精神または身体に障害のある65歳以上の人や
要介護認定を受けている人のうちで
市町村や福祉事務所等で障害者としての認定を受ければ、
障害者控除の対象となります。

その年12月31日の現況で引き続き6ヶ月以上にわたって、
身体の障害により寝たきりの状態で、
複雑な介護(自ら食事や排せつ等をすることができない程度)を
必要とする人については、65歳未満の方も、
特別障害者の対象となります。


注意しなければならないのは、
要介護認定を受けただけでは、
障害者控除の対象とならないことです。
市町村からの認定を受けてはじめて
障害者控除の対象となります。

一方、
「寝たきり」の人の特別障害者控除については
市町村からの認定を受けてはじめて適用される自治体と
認定を要件としていない自治体とがありますので、
お住いの自治体に問いあわせる必要があります。


一般障害者であれば、27万円(住民税26万円)、
特別障害者であれば40万円(住民税30万円)を差し引くことができます。
さらに、特別障害者とされる人と同居している場合は
特別障害者控除の40万円に35万円の同居加算額がプラスされ、
75万円(住民税53万円)を差し引くことができます。

次にご紹介するのは、この同居加算をしていなかった事例です。

Bさんは別居の両親(所得がともに48万円以下)に
生活費の仕送りをしています。

父(82歳)は寝たきりで、
母(71歳)が自宅で介護をしています。

Bさんは父母に別居でも仕送りをしており、
生計一と認められますので、
老人扶養親族として、両親について48万円ずつ控除していました

また、父については市町村から認定を受けており、
特別障害者控除として40万円を差し引いていました。

ところが、もう一つ控除が抜けていたのです。
実は、このケースでは障害者控除の同居加算として
35万円を合わせて差し引くことができます。

同居特別障害者加算の要件は
「居住者(Bさん)または(Bさんの)配偶者、
その他(Bさんと)生計を一にする親族のいずれかと同居を常況としている者」
とされているからです。

Bさんの「生計一の親族である母」が
父と同居しているため、
Bさんは同居特別障害者加算の要件を満たしています。
Bさんにしてみれば、一つ屋根の下に暮らしているわけではないので、
同居加算ができるとは思っていなかったようです。
もちろん減税効果は住民税にも影響します。

ところで、
70歳以上の父母・祖父母と同居している場合は、
老人扶養親族の控除額48万円に、
さらに10万円を上乗せする直系尊属の同居加算がありますが、
Bさんはこの加算分の適用はありません。

こちらの直系尊属の同居加算の要件は、
「居住者(Bさん)又は(Bさんの)配偶者の直系尊属で、
居住者(Bさん)又は(Bさんの)配偶者と同居を常況としている者」
だからです。

つまり、こちらはそれこそ、
「一つ屋根の下に暮らしている」ことが要件なのです。

・・・・ここまでくると、
かなり、相当、とんでもなく、極めて、ややこしい・・・


控除を受けていなかった!!!という場合でも、
過去5年間分については確定申告をすれば、
所得税も住民税も適用を受けられます。
平成28年分については令和3年12月31日までであれば、
間に合います。

せっかく受けられる控除。
このほかにもたくさんの控除があります。
(医療費控除、雑損控除、寄付金控除etc・・・)
適用期限切れになってしまわないよう、
これを機に再確認してみることをお勧めします。


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■申込方法■FPK研修センター(株)大阪事業部へお問合わせ下さい。
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      E-mail osaka@fpk.co.jp
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