今までと少し違う?「扶養控除等申告書」

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Vol.2422019年11月12日発行

今までと少し違う?「扶養控除等申告書」

こんにちは。
FPオフィス willの前野彩&備順子税理士事務所の備です。

さて、毎月第2・第4火曜日にお届けしておりますこの「マネーシピ」。
第2火曜日は、税理士&FPの備順子から、
第4火曜日は、FPの前野彩からお送りいたします。


前回のメルマガで、備より、
セルフメディケーション税制についてお伝えしましたが、
少々、言葉足らずでしたので、補足させていただきます。

セルフメディケーション税制は、
健康診断や予防接種を受けた人が申告できる制度で、
12月までに受けておけば適用できます。

ただし、これらの健康診断や予防接種の費用そのものは、
セルフメディケーション税制対象となる医薬品代には含まれませんので、
ご注意ください。
また、これらの検診結果や予防接種の領収書等は確定申告のときに
提示・提出する必要がありますので、ご保管くださいね。


さて・・・
給与所得者の方々の中には、
そろそろ年末調整の書類を受け取っておられる方もおられると思います。

今回は、「令和2年分扶養控除等申告書」を記載する際に、
「アレ???」「何これ???」と
戸惑わないための前知識として、
備よりお伝えします。

ご参考になさってくださいませ。



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給与所得者の方は、そろそろ会社から提出してくださいと、
「扶養控除等申告書」を手渡される頃でしょう。

この書類は今年の年末調整のための書類ではなく、
来年(令和2年)のための書類です。

給与所得者は毎月、給与から所得税を天引き(源泉徴収)されますが、
その徴収金額は、おおよその金額なのです。

ざっくり言いますと、

この従業員が、
この月給で、
この家族のままで、
1年間、勤務した場合に
これぐらいの所得税を負担しなければならないであろうという予測の金額を、
12分の1にしたものが源泉徴収額と言えます。

そのために、その年の最初の給与を支払う前までに、
その従業員の扶養する家族の状況などを
会社が知っておかなければなりません。

それで、今年の年末調整の書類と同時に、
ついでに来年用も提出しているのです。

ですから、年の途中で家族の状況が変わったら、
提出した書類を会社から取り寄せて訂正するか、
新たに書き直して提出し、
来年はこれをもとに年末調整するのです。


ということで、
今年、会社から配布された「扶養控除等申告書」は令和2年分です

やっかいなのは、来年から、
給与所得者に関係する所得税の制度が、
改正されています。

そのため、少し、混乱しそうになりますので、
まず来年からの給与所得者に関係する所得税の制度について、
今年との違いを再確認しましょう。



(1) 改正点1・・・給与所得控除額が10万円引き下げられます。

給与所得控除額とは、給与専用の必要経費のことです。
給与額に応じて、この必要経費である給与所得控除額は決まっていますが、
この給与収入から差し引く給与所得控除額が、
来年から一律10万円「引き下げ」られます。

所得税は「収入-経費」 (これを「所得」と言います)をもとに、
税額を計算しますので、
この所得が大きいと、税金の負担が重くなります。

給与所得控除額が一律10万円引き下げられるということは、
10万円、所得が増えてしまう
(→税金の対象が増える)こととなります。

また、「給与収入が多い人」は給与所得控除額に、
上限が設けられているのですが、
今年は、この「給与収入の多い人」とは年収1,000万円超の人です。

来年からは年収850万円超の人が「給与収入の多い人」となり、
給与所得控除額の上限額も
220万円から195万円に引き下げられます。

つまり、「給与収入の多い人」は、収入から差し引ける金額が、
最大25万円少なくなるのです。


ただし、次の「給与収入の多い人」については、
調整が入り、負担が増えないようになっています。

・本人が特別障害者
・年齢23歳未満の扶養親族を有する
・特別障害者である同一生計配偶者・扶養親族を有する



 (2)改正点2・・・基礎控除について一律10万円引き上げられます。

基礎控除とは、「健康で文化的な最低限の生活を守る」ため、
ここまでの「稼ぎ」に対しては、税金をかけないという考えから、
所得から差し引くもの (「所得控除」のうちの一つ)です。

今年は誰でも一律38万円を基礎控除として所得から差し引けますが、
来年からは、一律10万円「引き上げ」られ、48万円となります

ということは、税金をかける金額が10万円「小さく」なるということです。

ただし、合計所得金額が2,400万円を超える高所得者は控除額が縮小され、
2,500万円を超える高所得者は、なんと、
基礎控除額が「ゼロ」です。



(3) これらの改正の影響

これらの改正の影響はどうなるでしょう。

実は、給与所得者にとって税金負担は、
多くの場合、変わらないこととなります。

なぜならば、
所得税の税額計算の構造は
「(収入金額-必要経費-所得控除)×税率=税額」です。

今回の改正を当てはめると次の通りとなります
(給与収入 - 給与所得控除額 - 基礎控除)×税率=税額
            ↑       ↑
        10万円引き下げ  10万円引き上げ

つまり、税率をかける前の金額は、
多くの給与所得者にとっては変わらないのです。

変わるのは、一部の高額給与所得者で、
増税になります。
給与収入から差し引けるものが小さくなり、
税金をかける前の金額が大きくなるからです。


さて、ここで、やっと本題です。

来年からの給与所得控除額の引き下げが、
扶養親族等の判定基準に影響するのです。



(4)改正点3・・・扶養控除等の対象の親族の所得基準10万円引き上げ

今年は、所得金額が38万円以下の親族が扶養の対象となります。

その判定基準額の38万円が、来年から48万円に「引き上がる」のです。

つまり、今年より扶養親族の所得が10万円多くなっても、
来年からは、扶養親族に入れられるのです。


しかし!!!
その親族が給与所得者であれば、
収入金額ベースでは来年以後も変化はありません。

給与所得控除額が引き下げられて、
その結果、所得が10万円増加した分、
扶養の判定基準が10万円増えているだけなのです。

・・・ややこしぃ・・・

例えば・・・

令和元年は給与収入のみの人で年収103万円の場合、
給与所得は38万円です。
  合計所得金額38万円以下で扶養控除の対象となります。


令和2年は給与収入のみの人で年収103万円の場合、
給与所得は48万円です。
  合計所得金額48万円以下で扶養控除の対象となります。


つまり、給与収入金額ベースでは、
扶養の判定は全く変わらないこととなります。

このほかにも、
配偶者控除や配偶者特別控除を判断するときの合計所得金額も、
一律10万円ずつアップしていますし、
年金収入に対する所得計算も改正されていますが、

給与や年金の収入金額ベースの扶養の判定については、
今年も来年以後も、全く変わりません。


こんなに!ややこしいのにもかかわらずっっっ

「令和2年分扶養控除等申告書」は、
これらの改正は、トーゼン みんな知ってるよねー
っというノリで、作成されています。


記載の際に、ちょっと面食らうかもしれませんが、
国税庁のホームページで記載例が紹介されていますので、
ぜひ、ご参考になさってください。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r2bun_02.pdf




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