相続登記の義務化と遺産分割10年の制限

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Vol.2762021年6月 8日発行

相続登記の義務化と遺産分割10年の制限

こんにちは。
備順子税理士事務所の備です。

さて、毎月第2・第4火曜日にお届けしておりますこの「マネーレシピ」。
第2火曜日は、税理士&FPの備順子から、
第4火曜日は、FPの前野彩からお送りいたします。

先日、出張で東京へ。

一仕事終えて、さあ、大阪に帰るぞー。
1日しゃべって
喉はカラカラ。
お腹はペコペコ。
足はパンパン。

新幹線車内で、○○品目つめつめお弁当と
チューハイだー。
心はウキウキ。

コロナ禍の影響で、
新幹線の車内ではアルコール類は販売しないというのは、
知っていましたので、

改札内の売店で食料と飲料を調達して、
乗りこむつもりでした。

ところが、
改札を通ると無いんですよね。
アルコール類が、一切...


おかげさまで、新大阪で乗り過ごすこともなく、
速やかに帰宅できましたぁ。

今回は、備より、
テーマは「相続登記の義務化」と「遺産分割に期間制限?」です。




┏━━━┓  1.所有者不明土地を解決する新制度
メニュー┗┓  2.相続登記の義務化
     ┗┓ 3.遺産分割に期間制限?
         4.セミナー告知     
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■□ 税理士備順子のマネーのミニレシピ
□   ~所有者不明土地を解決する新制度~
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ここ数年、所有者不明土地や空き家の存在が問題視され、
毎年のようになんらかの改正も行われてきましたが、
所有者不明土地問題の解消の鍵は、
相続で引き継がれた不動産の登記の義務化とされていました。

現在、不動産登記は義務ではありません。
ですから、
自分にとって価値が無い、
分割協議がまとまらない、
手間もかかるし費用も掛かる
などの理由で登記しないことも結構、見受けられます。

そのまま相続が繰り返されると、
あっという間に相続人(土地共有者)が数十人にも増えていた
というケースも少なくありません。

こうなると、相続人の中には行方不明者や認知症などの方もいて、
連絡が取れない、分割協議ができないということになります。

自治体や国が公共事業や災害復興事業のために活用したくても、
交渉が進まず、環境悪化にもつながります。

そこで、相続登記の義務化や、分割協議の期間制限、
相続した土地の国庫帰属制度(いわゆる土地の放棄)などが
法定されました。


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■□ 税理士備順子のマネーのミニレシピ
□   ~相続登記の義務化~
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1.相続登記の義務化

相続登記の義務化は、2024(令和6)年に施行される見込みです。
相続や遺贈で不動産を取得した相続人は、
その取得を知った日から3年以内に
相続登記の申請をすることが義務付けられます。
正当な理由なく申請しなかった場合は、
10万円以下の過料が課せられます。

ただし、相続人の負担を軽減するための制度も用意されました。
分割協議がまとまらないなどで、
誰が取得するか決まらない場合は、
亡くなった方(登記名義人)の法定相続人であることを
相続人が申し出るだけで、登記の義務は免れることができます。
単独で申請でき、添付書類も簡略化され、
登記官がその相続人の氏名と住所を記録します。

なお、その後、遺産分割で誰が取得するかが確定した場合は、
そこから3年以内に登記しなければなりません。

なんと、この相続登記の義務化は、
この法律の施行日前の相続についても適用されます。
所有権の取得を知った日、または法律の施行日の
いずれか遅い日から3年以内に申請しなければなりません。

ですから現在、名義が先代・先々代のままの場合は、
仮に法施行日が令和6年4月とすれば、
令和9年4月までに申請しなければならないこととなります。
(取得したことを知った日が法施行日より遅ければ、そこから3年以内)

一方、私たちが実行しやすい環境も整えられるようです。
令和3年度税制改正大綱では、
「不動産登記の登録免許税について必要な措置を図る」
とされていました。
相続登記の登録免許税の減免が検討されているようです。

また、「所有不動産記録証明制度」が新設されます。
これは自分が登記名義人となっている
不動産の一覧の証明書を発行(有料)してもらう制度です。
相続人等が、亡くなった方の所有不動産記録証明を
発行してもらうこともできます。

現在は不動産がある市町村ごとに、
名寄帳や固定資産税評価証明を取り寄せなければなりませんから、
所有権不動産記録証明制度が始まるとかなり便利です。
ただし、そもそも登記されていなければ
証明書には反映されませんので、
完全に網羅されるまでは時間がかかるでしょう。



2.住所変更の登記義務

現在、住所等の変更登記は義務ではありません。
引っ越しなどでばたばたしているときは、
変更登記なんて後回しで、そのうち忘れてしまっています。
結婚して姓が変わっても放置されてしまいます。

そこで、住所等の変更登記も義務付けられます。
住所等の変更日から2年以内に変更登記をしなければ、
5万円以下の過料となります。

こちらも法施行日前に住所等の変更があった場合にも適用されます
住所等の変更日、または法律の施行日の
いずれか遅い日から2年以内に申請しなければなりません。

なお、私たちに便利な制度のしくみも用意されています。

登記申請の際に氏名・住所の他、
生年月日等の「検索用情報」の申し出をする。

登記官が住民基本台帳ネットワークシステムに照会して
登記名義人の氏名・住所等の異動情報を取得する。

登記名義人の確認を得たうえで、登記官が変更登記する。

これにより、住所変更等が簡単に登記に反映されるようです。

住所等の変更時については、個人だけでなく、
法人についても同様の取り扱いとなっています。

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■□ 税理士備順子のマネーのミニレシピ
□   ~遺産分割に期間制限?~
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現在、遺産分割の期間制限はありません。

遺産分割しなければ、
亡くなった方の財産はすべて相続人の共有となりますので、
相続が繰り返されると、
権利関係がかなり複雑となって収拾がつきません。

そこで、遺産分割がなされないまま、
相続開始から10年経過しますと、
民法で定められた法定相続分どおりで取得することとなります。
この場合、特別受益や寄与分(注)の主張はできません。

(注)
亡くなった方からたくさん財産を前もらいしている相続人がいる場合に、
遺産分割の際にその前もらい分を組み込んで公平に分ける制度を、
特別受益の持ち戻し制度といいます。

逆に亡くなった方の財産が増えるような特別な貢献をした相続人がいる場合に、
遺産分割の際にその貢献度合いを組み込んで公平に分ける制度を、
寄与分制度といいます。



なお、相続人全員が話し合って納得するのであれば、
10年の期間制限はありませんし、
特別受益や寄与分を主張しても問題ありません。

相続人同士で合意できずに争いになり、
家庭裁判所に持ち込まれたときに、
相続から10年経過していると、
特別受益や寄与分の主張はできず、
法定相続分どおりで分けられてしまう
ということになります。

よくよく考えてみると、
分割協議をしないというのは、
その財産が「いらない」から、
という理由が考えられます。

ということは、「いらない」財産を、
分割せずに放置したまま10年経過すると、
法定相続分で「持たされる」こととなります。

どうにもこうにもならない不動産(=負動産)を
持たされる・・・これもかなり怖い話ですね。


ということで次々回のメルマガ(第2火曜・備版)は、
「相続してしまった不動産、放棄できるかも???」
を取り上げましょう。


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