遺された配偶者を守る相続民法が成立しました。

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Vol.2162018年9月11日発行

遺された配偶者を守る相続民法が成立しました。

┏━━━┓  1.長年、連れ添った配偶者の住まいを守る法律が成立
┃    ┃   2.この法律はいつから始まる? 注意点は?
 メニュー┗┓   3.セミナーのお知らせ
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□ ~長年、連れ添った配偶者の住まいを守る法律が成立~
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40年ぶりに相続民法が改正されました。
平成30年7月13日に公布されましたが、
その中に遺された配偶者の住まいを守る法律がいくつかあります。

今回は、長年連れ添ったご夫婦間だからこそ使えるという
相続民法の改正について取り上げましょう。


夫に先立たれた高齢の妻は、金銭面や健康面において、
先のことを考えるとさぞかし心細いことでしょう。
そのような中で、子と遺産分割をするとき、
子が母を案じて、譲ってくれるとは限りません。

子も60歳代であれば、まだ住宅ローンが残っている人もいます。
また、退職金も期待できない中、自分自身の老後が不安です。
遺産があれば少しでも多く受け取りたいという気持ちになるのも、
無理からぬところがありますし、
法律では子には正当に遺産を受ける権利があります。

自宅以外の財産が少ない場合などは、
母と子でもめたあげくに、
高齢の母は住み慣れた住宅を売却して分割するということにもなりかねません。


今回の相続民法の改正は、
老々相続という現状で、子といえばすでに60歳代、70歳代ですから、
経済的にある程度自立できているはずですし、
一番守られるべきなのは、
年老いた配偶者であるという考え方が根底にあります。

遺された配偶者の住まいと老後の安心の確保が、
まず、第一だということです。

改正後の法律では、20年以上連れ添った夫婦で、例えば夫が死亡した場合、
妻が、生前にすでに自宅を贈与されていたり、
遺言で贈与されていたときは、
「自宅を遺産分割の対象にしない」とされました。


改正前の法律では、たとえすでに生前に贈与されていたり、
遺言で遺贈されていたりしても、
その財産を含めて遺産分割の話し合いがなされることとなっています。

これは「特別受益」という考え方です。
生前に財産を前もらいしている人がいる場合、
遺産分割の対象となる財産に、前もらいしている財産の額を足し(持ち戻し)て、
分割協議をするのです。

たとえば、夫が死亡して、妻と2人の子が相続人、
遺産は2,000万円の預金とします。
ただし、妻は夫から結婚20周年記念に、2,000万円の自宅の贈与を受けていたとします。

民法では分割の割合の目安が示されており、
配偶者が2分の1、
2人の子の相続分はそれぞれ4分の1ずつです。

ですから、この事例の場合、今の法律では、
預金2,000万円+自宅2,000万円=4,000万円を公平に分けましょう、
ということとなり、
妻は2,000万円の自宅、
子は預金を1/2ずつで1,000万円ずつということとなってしまうのです。

これでは、年老いた妻は、住まいを確保できても金銭面ではかなり不安です。


これが改正後は、
20年以上連れ添った妻が、生前にすでに自宅を贈与されていたり
遺言で贈与されていたときは、
夫が『持ち戻し免除の意思表示をしていた』とみなします。

持ち戻し免除の意思表示とは、
生前にした贈与や、遺言での贈与について、
「○○は遺産分割の対象にしないでください。」
という意思を明らかにすることです。
この意思表示があった場合は、
分割協議の対象財産から除外して、分割の話し合いをします。

もち戻し免除の意思表示という制度は、
ご存知の方はとても少なかったため、
活用されることはほとんどありませんでした。

今回の改正では、
夫が「妻へ贈与した自宅は持ち戻しの対象としないこと」
という意思表示をしていなかったとしても、
『持ち戻し免除の意思表示があった』とみなします。

たとえば、この事例において、
自宅は妻に生前贈与されていたため、
自宅が遺産分割の対象から除かれ、
遺産分割の対象は預金2,000万円だけとなります。
したがって、妻は現金2,000万円の1/2で1,000万円、
子2人はそれぞれ現金500万円ずつ相続することになります。

この結果、配偶者は住まいが確保されたうえで、
その他の遺産も受け取れます。


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□ ~この法律はいつから始まる? 注意点は?~
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この法律は、平成30年7月13日の公布の日から1年以内に施行されます。
未だ、現時点では施行日は決定していませんが、
平成31年7月までに始まります。

ここで、注意しなければならないのは、
施行日前の遺贈や贈与には、この法律が適用されないことです。
つまり、この法律が施行される前は、
『持ち戻し免除の意思表示があったとみなされる』わけではないのです。

では、法律の施行日前に、妻に自宅を贈与しないほうがいいのか、
というと、そういうわけではありません。
贈与契約書や遺言に「妻へ贈与した自宅は持ち戻しの対象としないこと」
という意思表示を明確にしておきさえすれば、
新法の「みなし規定」を使うまでもないわけです。

なお、贈与税の特例に
「20年以上連れ添った配偶者間で自宅を贈与した場合、
2,000万円までは贈与税が非課税になる特例」
があります。

この贈与税の特例では、自宅をそのまま贈与するときだけでなく、
自宅を取得するための金銭の贈与についても適用できます。

ところが、今回の相続民法の改正においては、
「居住の用に供する建物またはその敷地について、
遺贈または贈与をしたときは・・・」
とされています。
自宅を取得するための金銭の贈与は、
今回の相続民法の改正の適用を受けられないのではないか、
という指摘をする専門家もいます。

ですから、自宅を取得するための金銭贈与をすることを検討している方は、
やはり、念のため贈与契約書や遺言に、
持ち戻し免除の意思表示をすることをお勧めします。


来月は、婚姻期間が20年に満たない場合の、
配偶者の居住権を守る新制度をお伝えしましょう。


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