住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税

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Vol.2992022年6月14日発行

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税

こんにちは。
ファイナンシャルプランナーの前野彩です。

さて、毎月第2・第4火曜日にお届けしておりますこの「マネーレシピ」。
第2火曜日は、税理士&FPの備順子から、
第4火曜日は、FPの前野彩からお送りいたします。


そう遠くない将来、贈与税が大きく改正されそうです。
(私見ですが、令和6年あたり??? )
しかも間違いなく増税路線...。

そんな中で、国税庁のホームページで
「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし
公表されました。
8頁のカラーパンフレットでわかりやすくまとめられています。

この非課税制度は令和4年度税制改正で
適用期限が2年間延長されました。

将来的にもこの非課税制度は続くとは思います。
とはいえ、今以上に有利になるとは考えにくいです。

もしも、住宅取得を検討していて、
父母・祖父母からの資金支援が期待できるという方は、
令和4年~令和5年の本制度の利用を検討する価値はあると思います。

今回は、備よりこの非課税制度の概要と留意点をお伝えしましよう



┏━━━┓  1.住宅取得等資金の非課税制度とは?
メニュー┗┓  2.住宅には要件がある
     ┗┓ 3.注意したい!贈与を受けるタイミング
      ┗┓ 4.住宅取得等資金の贈与と住宅ローン控除を併用する場合
       ┗┓5.今後、住宅取得等資金の贈与税の非課税制度はどうなる?
        ┗┓ 6.セミナー告知
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1.税理士備順子のマネーのミニレシピ
   ~住宅取得等資金の非課税制度とは?~
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令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に、
父母や祖父母など直系尊属から、
子や孫(18歳以上!!!)が、
居住用の家屋の新築・購入・増改築等のための金銭の贈与を受けた場合、
省エネ等住宅でしたら1,000万円まで、
それ以外の場合は500万円まで贈与税が非課税となります。
今回の制度は「新非課税制度」というそうです。

家屋の床面積が50平米以上の場合は、
受贈者の贈与を受けた年の合計所得金額は
2,000万円以下でなければなりませんが、
家屋の床面積が40平米以上50平米未満の場合は、
1,000万円以下でも適用を受けられます。

平成21年分から令和3年分までにあった
「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度(旧非課税制度というそうです)」
の適用をすでに受けているときは、
新非課税制度の適用は受けられません。

ところが、新非課税制度そのものは2年連続で受けることも可能です。
例えば・・・
令和4年に新非課税制度の適用を受けて中古住宅を取得し、
令和5年にその中古住宅の省エネ基準を引き上げる改築をするとします。
令和5年は令和4年の新非課税制度の適用金額を控除した限度額の範囲で
非課税の適用を受けることができます。




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2.税理士備順子のマネーのミニレシピ
   ~住宅には要件がある~
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家屋の登記簿上の床面積が40平米以上240平米以下で、
その家屋の床面積の2分の1以上が、
受贈者の居住用でなければなりません。

店舗兼住宅などの面積判定は
居住用以外の部分も含めた家屋全体の床面積で行います。
例えば店舗部分の床面積は130平米、
住宅部分の床面積も130平米の場合、
住宅部分の床面積だけ見れば床面積基準に該当しますが、
店舗部分も含めた家屋全体の床面積(260平米)で判定されます
この事例の場合は、残念ながら非課税制度の適用は受けられません

なお、家屋全体の床面積が240平米以下で、
その2分の1以上が受贈者の居住用という要件を満たしていれば、
住宅以外の部分も含めて贈与を受けたとしても
非課税制度の対象となります。

自宅で起業を考えている人の自宅兼事務所や
賃貸併用住宅を検討している場合、2分の1基準は、
住宅ローン控除が受けられるかどうかにも影響しますので、
設計段階から慎重に検討しましょう。


住宅用家屋だけでなくその敷地の購入費用も非課税制度の対象です
ただし、家屋を一部分でも所有していない場合は、
適用を受けることはできませんので要注意です。

たとえば、妻が祖父から贈与された金銭で土地を購入し、
その土地の上の家屋は夫が銀行からの借入金で取得し
夫の単独所有となっている場合。

このケースでは、妻の祖父からの贈与について
非課税制度の適用を受けることはできません。
ほんの一部でも家屋を共有していれば適用を受けられますので、
家屋の登記をする前に、
慎重に持分を決定しましょう。

とはいえ、家屋に対し1円も出していないのに
持分の一部を妻の名義にすると、今度は夫から妻への贈与になりますので、
夫婦間の資金の流れも明確にしておきましょう。



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3.税理士備順子のマネーのミニレシピ
   ~注意したい!贈与を受けるタイミング~
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贈与を受けた年の翌年3月15日までに
贈与資金の全額を充て新築等をして住み始めるか、
3月15日以後であっても遅滞なく(その年12月31日まで)
その家屋に居住することが確実と見込まれる場合に、
非課税制度の適用を受けられます。

なお、新築の注文住宅の場合、
贈与を受けた年の翌年3月15日までに、
必ずしも完成・引き渡しに至らずとも適用を受けられます。
翌年3月15日までにいわゆる棟上げ以上の状態にあれば
適用を受けることができます。

贈与を受ける側としては、
土地の手付金や工事の着手金等の贈与がありがたいものです。
これらは住宅ローンの融資が下りる前に生ずるからです。

ここで、注意したいのは建築が計画通りに進まないこともあるということ。

土地の手付金のために贈与を受けたのに、
建築計画の段階で話がまとまらなかったりして、
翌年3月15日になっても棟上げまでこぎつけることができないと
非課税の適用はありません。

間違いなく非課税制度の適用を受けるためには、
住宅の引き渡し時の最終金について贈与を受けるのが望ましいのです。

また、
最終的には父母からの購入資金を贈与してもらう約束はしているということで、
とりあえず自己資金で建築業者へ支払いを済ませ、
後から父母から贈与を受けたときも、
この非課税制度の適用はありませんので、
購入資金のスケジュール管理は重要です。



分譲マンションや建売住宅の場合は要注意

分譲マンションや建売住宅の場合は、
注文住宅とは基準が異なりますので注意が必要です。
贈与を受けた年の翌年3月15日までに、
物件の引渡しまで済ませていなければ、
非課税制度の適用を受けることができません。



住み始めるタイミング

このような引き渡しの要件を満たせば、
贈与を受けた年の翌年3月15日までに、
その家屋に居住することができなかったとしても、
その年の年末までにその家屋に住み始めれば、
この非課税制度の適用を受けることができます。

もしも、住み始めるのが、
贈与年の翌年12月31日を超えてしまうと、
非課税制度の適用を受けることができなくなり、
修正申告をして贈与税の納税をしなければならないこととなります

仕事の都合や子どもの学校の都合などで引っ越しが遅れるなど、
計画通りに進まないことも考えられます。

この住宅取得等資金の贈与の特例は、
「贈与日」、「引き渡し日」、「居住開始日」の
すべてのタイミングが合わなければ適用を受けられません。

設計や工事等の進捗具合は業者さん次第とも言えますので、
こちらとしてはどうしようもない部分もありますが、
贈与のタイミングについては、
受贈者と贈与者の間で調整できます。
ここは慎重に決定すべきでしょう。


なお、この非課税制度の申告については、結構厳しく、
贈与年の翌年2月1日から3月15日までに
贈与税の申告書や添付書類を提出しなければなりません。
原則として申告が1日でも遅れると適用を受けられません。



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4.税理士備順子のマネーのミニレシピ
   ~住宅取得等資金の贈与と住宅ローン控除を併用する場合~
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住宅の購入資金として、
父母等から贈与された資金と銀行からの借入金を充てる場合、
それぞれの要件を満たしていれば、
「住宅取得等資金の贈与の非課税」と「住宅ローン控除」の
両方の適用を受けることができます。

現在、住宅ローン控除の税額控除の金額は
「年末ローン残高×0.7%」ですが、
「住宅取得等資金の贈与の非課税」と併せて受ける場合は、
年末ローン残高の「全額」について適用を受けることが
できなくなることがあります。

例えば住宅の購入価額が3,500万円とします。
3,000万円分は住宅ローンを組み、
祖父からは1,000万円の住宅取得資金の贈与を受けたものとします。

年末のローン残高が3,000万円であると、
3,000万円×0.7%(21万円)の税額控除額を受けられる!
と勘違いしそうです。

この場合、
「住宅の取得等に係る対価の額である3,500万円」から
「非課税制度の適用を受けた贈与額1,000万円を控除した金額」が
住宅ローン控除の対象の「住宅借入金等の金額の合計額」とされます。
つまり、
2,500万円×0.7%(175,000円)がローン控除額の上限となるのです。


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5.税理士備順子のマネーのミニレシピ
  ~今後、住宅取得等資金の贈与税の非課税制度はどうなる?~
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ここからは私見ですので、ご参考までに・・・。

住宅政策は内需の柱とも言われています。
住宅ローン控除とともに
住宅取得等資金の贈与税の非課税制度は、
令和6年以後も続くと考えられます。

ただし、令和6年以後の要件として、
住宅取得等資金の贈与税の非課税制度についても、
「省エネ基準を満たした住宅であること」が求められるでしょう。

新築物件については令和6年以後、省エネ基準を満たさなければ
住宅ローン控除の適用を受けられないことが確定しているからです


非課税贈与の限度額そのものは、
現行の1,000万円(500万円)以上になるとは考えにくいです。
コロナウイルス感染症対策で、
国家財政もしんどいところですし...

「ここ数年のうちに、住宅取得を」
と、考えておられる皆さんは、
これらのことも踏まえて、この制度の活用をご検討ください。






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