退職所得に要注意!!住民税の申告をしなければ損する???

メルマガ過去号back number

HOME >  メルマガ過去号 >  退職所得に要注意!!住民税の申告をしなければ損する???

メルマガ過去号back number

Vol.2962022年4月12日発行

退職所得に要注意!!住民税の申告をしなければ損する???

こんにちは。
ファイナンシャルプランナーの前野彩です。

さて、毎月第2・第4火曜日にお届けしておりますこの「マネーレシピ」。
第2火曜日は、税理士&FPの備順子から、
第4火曜日は、FPの前野彩からお送りいたします。


税制改正により、
今までほとんど知られていなかった取り扱いがクローズアップされ
改めて「へ~ 実はそうやったんやー」ということはままあります。

しかも、その知らないことで損をしていた
ということに気づくことがあります。

これが令和4年度税制改正でもありました。
住民税における退職所得の取り扱いです。
退職所得は原則として申告不要ですが、
住民税は申告をしなければ損をするケースがあるようです。

今号はこのテーマを備よりお伝えします。


┏━━━┓  1.所得税と住民税での異なる取り扱い
メニュー┗┓  2.今年の税制改正で浮上した退職所得の取り扱い
     ┗┓ 3.住民税の申告をすれば有利なケースはほかにも
      ┗┓ 4.多くの場合、見過ごされてきた?
       ┗┓ 5.セミナー告知
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

..............................................................................
1.税理士備順子のマネーのミニレシピ
   ~所得税と住民税での異なる取り扱い~
-----------------------------------------------------
退職所得は勤め先が所得税と住民税を計算し
納税までしてくれます。

原則として改めて申告する必要はありませんが、
例えば、
退職年の給与所得から扶養控除や医療費控除を引けない場合、
その引ききれない金額を退職所得から差し引いて
退職所得から天引きされていた所得税の還付を受けることができます。

また、所得税では例えば
退職年に不動産所得や事業所得の赤字があれば
退職所得と通算することも可能です。

ところが、これは所得税だけの話しです。

住民税は退職所得から扶養控除等の所得控除も差し引けませんし、
他の赤字の所得と損益通算もできません。
退職所得から住民税が天引きされると、
課税関係はきっぱり!!!終わります。


..............................................................................
2.税理士備順子のマネーのミニレシピ
   ~今年の税制改正で浮上した退職所得の取り扱い~
-----------------------------------------------------

配偶者控除や配偶者特別控除は、
合計所得金額が1,000万円を超えると適用を受けられません。
例えば、夫の合計所得金額が1,000万円を超えると
妻を配偶者控除等の対象とすることができません。

この「合計所得金額」とは給与所得や事業所得、譲渡所得など
すべての所得の合計額です。
所得税ではこの合計所得金額に退職所得が含まれますので、
退職金を受給した年の合計所得金額が
1,000万円を超えると配偶者控除等を受けられません。

ところが住民税はこの「合計所得金額」に
退職所得を含みません。

住民税は本来、
前の年の所得をもとに1年遅れで課税されますが、
(前年所得課税といいます)
退職所得だけは、退職時に住民税が天引きされると、
そこで課税関係を完全に終わらせます(現年分離課税)。

そのため住民税は退職所得を「合計所得金額」に含みません。

つまり、合計所得金額に退職所得を含むと1,000万円超、
含まなければ1,000万円以下という場合、
所得税では配偶者控除等は受けられず、
住民税では受けられるということになります。

このような場合、別途住民税の申告をすることで、
住民税では配偶者控除等の適用を受けられます。


..............................................................................
3.税理士備順子のマネーのミニレシピ
   ~住民税の申告をすれば有利なケースはほかにも~
-----------------------------------------------------
ひとり親控除とはひとりで子を扶養している人で、
合計所得金額が500万円以下の年に適用を受けられる所得控除の一つです。
退職所得を含めた合計所得金額が500万円超、
含めなければ500万円以下という場合、
所得税ではひとり親控除の対象となりませんが、
住民税では30万円のひとり親控除を差し引けます。

寡婦控除も同じ考え方となります(住民税の控除額は26万円)。


また、退職金を受けた人が
扶養控除の対象となるかどうかの判断でも同様です。

例えば、長男と同居の父が退職金を受けたことで
合計所得金額が48万円を超えた場合。

所得税では父は扶養控除の対象となりません。
しかしその退職所得を除けば合計所得金額が48万円以下となるのであれば、
住民税の申告をすることにより長男は父を扶養控除の対象として、
最大45万円の控除を受けられます。


その他、退職金を受けた人が例えば妻の場合、
夫の配偶者控除等の対象となるかどうかの判断についても
同じことが言えます(住民税の配偶者控除は最大38万円)。


..............................................................................
4.税理士備順子のマネーのミニレシピ
   ~多くの場合、見過ごされてきた?~
-----------------------------------------------------

これらの取り扱いはほとんど知られておらず、
令和4年度税制改正により浮き彫りになったのです。
その改正内容自体は次の通りとても地味~なものです。

公的年金等の雑所得を計算する際には、
公的年金の収入金額から概算経費として
公的年金等控除額を差し引きます。
その公的年金等控除額は合計所得金額の大小により異なります。

合計所得金額の大小により公的年金等控除額が異なる仕組みは
令和2年から始まっていますが、
当初のここの合計所得金額の考え方は
所得税も住民税もともに
「合計所得金額に退職所得を含める」というものでした。

ところが市町村のシステム上、
退職所得の情報収集にかなりの苦労があったようです。

そこで令和4年度改正により、
住民税の公的年金の所得計算上は、
合計所得金額に退職所得を含めないとされました。
このことにより住民税における扶養控除や配偶者控除等の判定時の
合計所得金額と取り扱いが統一されました。


この改正があったことで、
実は所得税と住民税では
「退職所得を合計所得金額に含むかどうか」が異なっていた、
「該当する人は扶養控除や配偶者控除等を受けるために
住民税の申告が必要であった」
ということが浮き彫りになったのです。

このような取り扱いであったことは、
税理士にも知らない人が多かったと思われます。
改正後には税務の専門誌にも何度か取り上げられています。
(実は私も知りませんでした...恥...)

これらの状況に現実に直面することは、
多くはないとはいえ、もしも、
該当することがあれば、
ぜひ市町村にお問い合わせください。

市町村ごとに申告の仕方が異なるようです。


また、令和3年分の所得税の確定申告からは、
本来申告不要であるはずの退職所得について記載するよう
指示されています。
合計所得金額が影響を及ぼす項目が
次のように増えているからでしょう。

公的年金等控除額
基礎控除
配偶者控除・配偶者特別控除
扶養控除
寡婦控除・ひとり親控除
勤労学生控除
住宅ローン控除など住宅関連特例
住宅取得等資金の贈与税の非課税・・・


年々、税制は複雑怪奇なものとなってます。
私たちが負担する税金が、
理解不能になっていいはずはないのですが...。


...........................................................................
■□ セミナーのお知らせ□■
...........................................................................
-----------------------------------------------------------
 Waku♪Waku♪お金力アップセミナー第158回
 もしもの時の死亡保障。あなたは誰にいくら残せる?
-----------------------------------------------------------

もしものときの遺族年金。
あなたは誰に、いくら残せるか、ご存知ですか?
そして、もしものときに
あなたがいくら受け取れるか考えたことがありますか?

誰も教えてくれなかった遺族年金について
セミナーでみっちりお伝えしていきます。

■日時■
2022年5月11日(水)19:00~20:00

■場所■
5月・6月はオンライン開催のみ実施です。

■連絡先■090-6609-0750

■参加費■
・一般の方1000円
・FP資格をお持ちの方2,500円
 ★今年から10回分の一括払いで12回(1年間)利用できる年会員がスタートしました!

■テキスト■
「本気で家計を変えたいあなたへ」<第4版>
(日本経済新聞出版社)1500円(税込割引価格)を利用します
お持ちでない方は、当日までにお手元にご用意くださいませ。
https://amzn.to/3DYgZe1

■申込方法■
https://lolipop-fp-will.ssl-lolipop.jp/contact/formmail.html

ご質問・ご相談がありましたら
お気軽にお問い合わせください

  • 06-6480-8585
  • お問合せフォーム

pagetop