給与課税の改正と給与の必要経費

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Vol.2582020年8月11日発行

給与課税の改正と給与の必要経費

こんにちは。
FPオフィス willの前野彩&備順子税理士事務所の備です。

さて、毎月第2・第4火曜日にお届けしておりますこの「マネーレシピ」。
第2火曜日は、税理士&FPの備順子から、
第4火曜日は、FPの前野彩からお送りいたします。


今、私(備)がはまっているのが、
アロンアルファのユーチューブのアニメCMです。

高校生の恋愛ものなどもあるのですが、
私が何度も見てるのが、
「こわれものがたり~」

壊れた家具などを、アロンアルファでくっつけて、
「見た目 ととのう~ 気持ち ととのう~」

かなり、本気でおもしろいです。

でも、今、一番くっつけたいのは、
彩ちゃん先生の腰の骨です。
(彩ちゃん先生はまだギブス生活...)


今回は、備より、
今年から変わる給与課税と、
その影響を受ける高所得者の対応策としての
特定支出控除についてです。



┏━━━┓   
メニュー┗┓ 1.給与課税の改正と給与の経費
      ┓ 2.特定支出控除に関するQ&A  
          ┓  3.セミナー告知
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■□ 税理士備順子のマネーのミニレシピ
□   ~給与課税の改正と給与の経費~
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令和2年から給与所得者に係る税制が変わります。

給与所得にかかる税金は所得税と住民税ですが、
所得税が確定すると自動的に住民税が確定します。

つまり、所得税を間違うと住民税にも影響するだけでなく、
住民税は、様々な給付金の算定基準になっています。

税制が変わるときは、不利益を被っていないかどうか、
確認することが重要です。
給与については、会社が年末調整で所得税を計算してくれますが、
その給与の税金を計算する会社側にとっても
初めてのことだからです。

所得税額は次の算式で求めます。
 (収入金額-必要経費-所得控除)×税率=所得税額

この算式から言えることは、
収入金額から差し引く2項目(必要経費と所得控除)の金額が大き
  ↓
税率をかける対象金額が小さくなる
  ↓
税金の負担が軽くなる
ということです。

収入金額から差し引く「必要経費」は、
自営業者の場合であれば、仕入れや人件費、広告宣伝費などの
収入を獲得するためにかかった費用のことです。

給与収入に係る必要経費は、
給与所得者が実際に支払った経費は原則として使いません。
給与所得者専用の必要経費として、
「給与所得控除額」が定められています。
この「給与所得控除額」は、給与収入に連動して決まります。

令和2年からはこの給与所得控除額が一律10万円引き下げられます。

つまり、
給与収入から差し引く給与所得控除額が小さくなる
    ↓
税率をかける対象金額が大きくなる
    ↓
じゃ、増税かぁ?????

と、なりそうですが、その一方で、
だれでも所得から差し引ける所得控除の一つである
「基礎控除」が10万円引き上げられます(38万円⇒48万円へ)。

したがって、

給与収入から差し引く給与所得控除額が10万円小さくなる
    ↓
給与収入から差し引く所得控除額が10万円大きくなる
    ↓
税率をかける対象金額は変わらない
    ↓
税金の負担は変わらない

結局、多くの給与所得者にとっては、
改正による税負担は変わらないのです。


影響があるのは高所得者です。
給与収入1,000万円超の場合、
給与所得控除額220万円を差し引けましたが、
令和2年からは給与収入850万円超になると195万円しか差し引けません。

さらにだれでも引けるはずの基礎控除が、
合計所得金額が2,500万円を超えるとゼロとなります。

高所得者は給与収入から差し引ける金額が
最大25万円+38万円減り増税になります。

高所得者は増税に対し、
黙って受け入れるしかないのか...

いえいえ、そうではありません。
ここで注目したいのが特定支出控除です。
これは、給与所得者が自腹を切って支払った経費が、
給与所得から差し引けるというものです。

給与所得者も自腹を切って、スーツ代を払いますし、
交際費や書籍代を支払うことがあります。
これらが経費として認められる制度です。
給与所得者に認められる経費(「特定支出」といいます)は
次のとおりです。

1.通常必要であると認められる通勤費
(会社負担分で非課税部分を除きます、以下同じ)

2.転勤に伴う転居費用

3.職務に直接必要な技術や知識を得るための研修費

4.職務に直接必要な資格取得費
(弁護士、公認会計士、税理士、弁理士等を含む)

5.単身赴任などの場合の帰宅旅費

6.職務と関連のある図書費、職場で着用する衣服費、職務に必要な交際費
これらを「勤務必要経費」といい

6の勤務必要経費だけは、
他の支出と異なり、上限があります。
その年中に支出した勤務必要経費の金額の合計額が
65万円を超える場合には、65万円が限度となります。


特定支出控除を受けられるのは、
その年の特定支出の額の合計額が、
給与所得控除額×1/2より大きい場合に適用できます。

例えば、給与収入1,000万円の人でしたら、
特定支出が年間97万5千円を超えましたら適用を受けられます。

その場合、給与所得の金額は
給与収入-(給与所得控除額×1/2+特定支出控除)
となります。

したがって、特定支出控除の適用が受けられると、

給与収入から引ける金額が大きくなる
  ↓
税金の負担が小さくなる

ということです。



後半は、特定支出控除のうち、勤務必要経費について、
国税庁から情報Q&A形式で
面白いものをいくつか、抜粋してみましょう。

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■□ 税理士備順子のマネーのミニレシピ
□   ~特定支出控除に関するQ&A~  
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ここからは、国税庁ホームページ「令和2年分以後の所得税に適用される
給与所得者の特定支出の控除の特例の概要等について(情報)
第2質疑応答編」より、一部抜粋していますので、
ぜひ原本をご確認ください。


まずは、旬のテーマであるテレワークに関するご質問です。

(質問)
在宅勤務を命じられたことに伴い、
職務の遂行に直接必要なものとして、次の費用を支出しました。
これらの費用に係る支出は、
勤務必要経費として特定支出に該当しますか。

1.机・椅子・パソコン等の備品購入のための費用
2.文房具等の消耗品の購入のための費用
3.電気代等の水道光熱費やインターネット回線使用のための費用
4.インターネット上に掲載されている有料記事購入のための費用

(答)
勤務必要経費は、

イ)職務に関連する図書費
ロ)勤務場所において着用することが必要とされる衣服費
ハ)給与等の支払者の得意先や仕入先などに対する接待等費で、

職務の遂行に直接必要なものとして
給与等の支払者により証明されたものとされています。

ご質問の各費用のうち、
「4.インターネット上に掲載されている有料記事」については、
図書費に該当します。

したがって、
その支出が職務の遂行上直接必要なものとして
給与等の支払者により証明されたものは、
特定支出になります。

しかしながら、その他の費用は、
上記イ~ハの勤務必要経費のいずれの支出にも
該当しませんので、
特定支出とはなりません。



次は、交際費に関するご質問です。

(質問)
職場の同僚が結婚することになったため、
お祝いの会合を行いました。
この会合のための支出は、特定支出となりますか。

(答)
交際費、接待費その他の費用で、
給与等の支払者の
「得意先」、
「仕入先」
その他「職務上関係のある者」
に対して、

取引関係の円滑化を図る目的の、
接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出であり、

その支出が職務の遂行に直接必要なものとして
給与等の支払者により証明がされたものは、
特定支出となります。

したがって、職場における職場における
同僚との親睦会や同僚の慶弔のための支出は
特定支出とはなりません。



次は衣服費に関するご質問です。

(質問)
私は衣料品の販売店に勤務しています。
職場での服装については、社内規定により
自社が取り扱うメーカーの衣服を着用することとされています。

なお、この衣服については、
主に勤務時において着用していますが、
休日に着用することもあります。
この場合、勤務先で着用する衣服を購入するための支出は、
特定支出となりますか。

(答)
ご質問の場合、
給与等の支払者により勤務場所において
自社の取り扱う衣服を着用することが
社内規定により定められていることから、

その衣服の購入のための支出が
その方の職務の遂行に直接必要なものとして、
給与等の支払者により証明がされた支出は、
特定支出となります。

なお、その衣服について、
出勤・退勤の途上や他用で着用する場合があるとしても、
給与等の支払者により勤務場所において
着用することが求められており、

その方の職務の遂行に直接必要なものとして
給与等の支払者により証明がなされた場合は、
特定支出となります。


続いてこちらも衣服費に関するご質問です。

(質問)
私の勤務先は、職場での服装について
特に社内に規定がないことから、
システム開発部署の職員は自由な服装で勤務しています。
この場合、勤務先で着用するシャツやジーンズなどの
衣服を購入するための支出は、特定支出となりますか。

(答)
ご質問の場合、給与等の支払者により勤務場所において
特定の衣服の着用が求められておらず、
シャツやジーンズなどの購入のための支出が
必ずしもその方の職務の遂行に
直接必要なものではないと考えられることから、
その購入するための支出は、
特定支出となりません。



最後に、
スポーツ新聞が特定支出として認められるかというご質問です。

(質問)
新聞も図書費として特定支出となるとのことですが、
取引先との接客の際などの資料とするために
スポーツ新聞を購読しています。
この購入するための支出は、特定支出となりますか。

(答)
新聞の記事の内容等が職務に関連するものであり、
かつ、職務の遂行に直接必要なものであることについて
給与等の支払者により証明がされたものであることから、

一般日刊紙やスポーツ紙を購入するための支出については、
記事の内容等からその方の職務に関連するものであり、
かつ、
その方の職務の遂行に直接必要なものであることについて
給与等の支払者により証明がされたものは、特定支出になります。

ここ最近は、国税庁のホームページは「読み物」としても、
面白いものが増えていると感じます。


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